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奈良地方裁判所 昭和52年(行ウ)8号 判決

天理市右上町上出七六五-五

原告

尾村裕司

右訴訟代理人弁護士

吉田恒俊

奈良市登大路町

奈良合同庁舎

被告

奈良税務署長

上田富雄

右指定代理人

饒平名正也

林田光教

松本有

西谷仁孝

石田俊雄

坂田行雄

河口進

後藤洋次郎

主文

原告の請求はいずれも棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実

一、請求の趣旨

被告が原告の昭和四六年分ないし同四八年分の所得税につき、昭和五〇年三月一日付でなした昭和四六年分総所得額を金二一七万六、五四一円(異議決定により金一九二万一、四〇二円、審査請求裁決により金一五四万二、六〇〇円)、昭和四七年分総所得額を金一三七万八、五六五円(同金一二七万八、三八四円)および昭和四八年分総所得額を金六四六万四、三二〇円(同六一六万九、一五五円、同二〇五万一、二七三円)とした更正処分のうち、昭和四六年分につき金一一五万五、一三六円、昭和四七年分につき金七三万一、二八三円および昭和四八年分につき金九六万八、〇〇八円を各々越える部分及び加算税の賦課処分をいずれも取消す。

訴訟費用は被告の負担とする。

二、請求の趣旨に対する答弁

主文同旨

三、請求原因

(一)  原告は、昭和四六年分ないし同四八年分の各所得税につき次のとおり申告した。

昭和四六年分 一一五万五、一三六円 六万八、二〇〇円

昭和四七年分 七三万一、二八三円 一万七、七〇〇円

昭和四八年分 九六万八、〇九八円 二万二、八〇〇円

(上段が総所得額、下段が税額)

(二)  被告はこれに対し、昭和五〇年三月一日付で次の如き更正処分をなした。

昭和四六年分

二一七万六、五四一円 二二万三、〇〇〇円 七、七〇〇円

昭和四七年分

一三七万八、五六五円 九万〇、八〇〇円 三、六〇〇円

昭和四八年分

六四六万四、三二〇円 一三七万一、一〇〇円 三四万四、八〇〇円

(上段総所得額、中段税額、下段加算税)

(三)  原告の異議申立に対し、被告は昭和五〇年七月一一日付で原処分を一部取消して、次のとおり異議決定をなした。

昭和四六年分

一九二万一、四〇二円 一七万九、一〇〇円 五、五〇〇円

昭和四七年分

一二七万八、三八四円 七万八、四〇〇円 三、〇〇〇円

昭和四八年分

六一六万九、一五五円 一二五万九、〇〇〇円 三二万一、五〇〇円

(四)  原告の審査請求に対し、国税不服審判所は昭和五二年四月一五日付で次のとおり原処分を一部取消す旨の裁決をなした。

昭和四六年分

一五四万二、六〇〇円 一二万〇、一〇〇円 二、五〇〇円

昭和四七年分 棄却

昭和四八年分

二〇五万一、二七三円 一六万一、六〇〇円 六、九〇〇円

(五)  しかしながら本件各更正処分には、次のような手続上、実体上の違法がある。

1  更正手続の違法不当性

本件更正手続は民主商工会の破壊および原告に対する民商脱会工作を目的とするものである。

(1) 原告は昭和四二年分より被告から青色申告の承認を受けて、毎年青色申告を行った。しかるに、昭和五〇年二月二七日付で突如昭和四六年分にさかのぼって取消された。

(2) 原告は、昭和四六年分について原告と被告との話合いで、増額修正申告をなし、被告の了解を得た。昭和四七年分については被告の調査はなく、昭和四八年分について調査があり、樋口調査員が担当して昭和四九年一二月七日調査は終結した。右調査に当って原告が一切の帳簿書類を担当調査官に示したことは言うまでもない。

(3) 原告は昭和四九年一二月五日奈良民主商工会々員となったが、被告署長(当時篠原秀峰)は同年一二月七日の税務調査の際民商の加藤宣之事務局員が立会ったことを樋口担当官より聞き樋口を担当からはずし、篠原署長の命により以後平林、鈴木、大西某らが入れかわり原告方へ再調査に出向いて来た。その際、彼らは加藤事務局員が立会うことを拒否し、同人が原告のそばにいることを理由に調査に着手しなかった。

ことに大西は原告に対し、「民商といっしょに調査を受けるなら、こちらにも考えがある。全責任はおまえにある。」などと述べた。当時の八尾税務署員堀川清蔵は原告の親類に該るが、被告(篠原または大西)の依頼に基き、昭和四九年一二月一四日原告およびその母を橿原市の自宅に呼びつけ、民商脱会届を出すことなどを申し向けた。

(4) 被告は、原告が帳簿の提示をしているにもかかわらず、それを調査しないまま、反面調査に及んだ。それは銀行、得意先等あらゆる方面におよび、その結果原告は信用を落しかつ数店の得意先を失った。

(5) 更正処分金額自体からみた違法、不当性

原告に対する更正処分、および異議決定の結果は、前記のとおりであるが、昭和四六年分において約二倍、同四八年分において約六・五倍の所得があったとされ、ことに、昭和四八年分についていえば、その後の審判所における裁決で被告認定の約三分の一に所得額を減額されており、当初の更正処分が堀川の言明したとおり、民商を脱会しなかった原告に対する懲罰的更正であったことが推認される。

以上の如く、本件更正処分は、被告が原告をして民商を脱会するよう工作した結果、失敗に帰したために何らの根拠もなく、懲罰的になした違法・不当のものである。これは民商という自主的な商工業者の団体に対する不法行為を構成すると同時に、原告に対する不法行為であり、かつ、更正処分に当って著しく違法に他事考慮をしたと断ずることができる。従って、実額を検討するまでもなく、本件更正処分は違法であり取消をまぬがれない。

2  なお、実額にもふれて、いかに被告の更正処分が違法不当であったかを、この際明らかにしておきたい。

(1) 原告の昭和四六年から四八年分の所得額は別表1のとおりである。大部分は被告主張額を認めるが、相違点につき備考欄に番号をうった。以下この点について順次述べる。

(2) 備考欄(1)について

荷造運賃は原告の営業上必要なものであり、被告も昭和四七~四八年の同経費は原告が審判所で主張した額をそのまま主張している。昭和四六年分についても原告は零と記載したのではなく、その時点で資料が失なわれており明らかでなかったので棒線を引いたものである。原告の尋問結果によっても一〇ないし一五万円と幅があるが、昭和四七ないし四八年分との対比(総収入との対比、絶対額との対比)からみても、中間値である一二万五、〇〇〇円と推計することが可能である。

(3) 備考欄(2)

接待交際費として、少なくとも月一万円は必要であったところ、審判所の段階で申告額とのつじつまを合わせるためあえて低い金額を記載したもので、実額ではない。そこで、原告は、最少限の接待交際費として、昭和四六、四七両年分につき金一二万円を計上する。この金額は昭和四八年分の金一七万七、〇〇〇円と対比しても相当のものである。

(4) 備考欄(3)

消耗品費についても同様、つじつま合わせのために審判所の段階で申し述べたものである。被告も昭和四八年分については約九三万円を認めており、原告も四六~四七年分についてもその六割くらいあったはずだ、と述べている。そこで別表の同欄の下段に昭和四八年分の六割を計上した。また、収入金額に占める割合を計算したところ、別表の同欄の上段の数字となった。「〈3〉経費(合計)」欄と「〈4〉差引事業所得金額」欄の二段記載もこれに対応している。

(5) 備考欄(4)

イ 沢井考信に対する売上のうち、昭和四八年八月分(七月二五日〆切)は金五万〇、七〇〇円である(甲七号証の二)。この点は沢井の回答が誤っている。従って収入は五、〇〇〇円少なくなる。

ロ 昭和四八年六月二一日と同年七月七日の各一万円については、原告の売上げでなく、両替えなど収入以外の事情によるものである。従って収入はさらに二万五、〇〇〇円少なくなる。

(6) 備考欄(5)

これは、昭和四八年分の人件費のうちアルバイト料である。つじつま合わせのためノートには記載しなかったが原告は賃金支払帳記載以外に数名のアルバイトを採用し、金五五万円を支払っていた。このことは、原告の人件費率が昭和四七年分に比べ、昭和四八年分は右アルバイト料を経費として算入しても、約五パーセント低くなっていることからも明らかに推認できる。

(7) 以上の如く、昭和四六、四七年分についてはほぼ原告が当初申告したとおりであり、昭和四八年分については五割ほどふえている。

(六)  要するに本件各更正処分には手続上並びに実体上違法があり、原告の申告額が全く正しいものであるので、請求の趣旨記載のとおりその取消を求めるため本訴に及んだ。

四、請求原因に対する答弁

(一)  請求原因(一)は、認める。ただし、昭和四六年分については、同四七年一一月二二日付の修正申告額である。

(二)  同(二)ないし(四)は、認める。

(三)  同(五)、(六)は、争う。

五、被告の主張

(一)  原告は、被告が本件更正処分をなすについて種々の違法不当な行為をなしたから、右違法不当な事由の為に本件更正処分が違法不当であるかの如く主張している。

しかしながら、原告の主張する違法不当な行為は、いずれも存しない。

なお、課税処分取消訴訟の対象は、租税債務たる課税標準及び税額等が客観的に存在するかどうかであって、原処分庁が処分時にどのような調査をし、どのような資料に基づき、どのような認識、判断をしたかというようなことは一つの歴史的事実であって、それによって、ただちに課税処分の適否が左右されるものでないことは自明の理であり、審理において当該処分の認定した租税債務額が認められれば当該処分は適法となるのであって、更正処分をなすについての手続の違法は課税処分の適否には何ら関係のないものである。

(二)  原告は、原告が帳簿を呈示しているにもかかわらず、これを調査しないまま、反面調査に及んだことが違法の如く主張しているが原告が被告に対して帳簿を呈示したことはないのみならず、本来税務調査は「調査について必要があるとき」になされるものであってその範囲、程度、方法、時期、場所等に関しては、実定法上特段の定めがないから、これについては、税務調査の目的から合理的範囲のものである限り、収税官史の裁量に委ねられているものであり、必ずしも納税者から調査をしなければならない法律上の制約はないのである。

ところで、被告は、原告方へ昭和四九年一一月二七日以降七回にわたり調査に赴いたが、いずれの時も適正な税務調査が可能な状況でなかったので、やむを得ず、原告の取引先、銀行等の反面調査によって本件更正処分をなしたものであり、この点何ら違法は存しないものである。

(三)  原告は、肩書地においてトムソン加工(紙箱加工業)を営むものであるが、本件各係争年分の所得金額は別表8のとおりであり、その範囲でなされている本件各更正処分(ただし昭和四六年分、同四八年分については裁決により一部取り消された後の金額)に違法はない。そのうち原告申立てに係る金額以外のその余の金額の算定根拠は次のとおりである。

1  収入金額

(1)、売上金額

原告は被告の調査に協力しなかったので、被告はやむを得ず原告の取引銀行等に対する反面調査をなしたところ、原告は、南都銀行天理支店、同銀行丹波市支店(現在は同銀行天理支店に吸収されている。)、中京相互銀行天理支店にそれぞれ原告名義の普通預金口座をもっており、更に、南都銀行天理支店及び南都銀行丹波市支店には、前述の原告名義以外の武田みどり名義の仮名普通預金口座を有し、また、中京相互銀行天理支店にも同じく武田真理子名義の仮名普通預金口座を有し、更にまた、天理農業協同組合には、原告の娘の尾村枝里(昭和四六年八月三日生)名義で仮名普通預金口座をそれぞれ開設しており、右各口座には、原告の売上金額等が小切手等によって入金されていた。

そして、右金融機関の各普通預金口座の日々の入出金状況を調査したところ、別表2ないし4―2「取引先記載欄」の各取引先が判明し、右取引先に対し、原告との取引金額(売上金額)について照会等をなしたところ、係争各事業年分の各取引先別売上金額は、同別表「各年分の売上金額の内訳」のとおりであることが明らかとなった。

(2)、雑収入

原告が、被告に提出した係争各年分の青色申告決算書記載の金額、四六年分二、七五〇円、四七年分三、二四〇円、四八年分四、六五〇円の外、四八年分については「谷盛 厳」に対する自動車賃貸料一三万四、一二〇円を加算した一三万八、七七〇円が雑収入金額である。

2  売上原価(昭和四八年分)

原告が、国税不服審判所長に申し立てた売上原価から、税法上・売上原価に該当しない消耗品費に相当する部分を控除して計算した金額であり、その内訳は左のとおりである。

坂本龍彦 六七万九、六五〇円

沢田紙器商店 二八万四、〇〇〇円

信岡紙器工業所 三万八、七六〇円

(合計) 一、〇〇万二、四一〇円

3  経費

(1)、減価償却費

原告は、係争各年度ともその所有する機械設備、建物等について減価償却資産としてその償却を国税不服審判所長に申し立てたが、右申立てには計算上誤りがあったので、法律の規定に従って計算しなおしたものである。

その計算過程は別表5ないし7のとおりである。

(2) 給料賃金(昭和四七、四八年分)

原告が提出した賃金支払帳に基づき、藤川忠昭外四名の年間賃金支給額を計算したものであり、その内訳は左のとおりである。

〈省略〉

なお、原告は、昭和四八年分給料賃金について、「賃金支払帳記載以外に数名のアルバイトを採用し、金五五万円を支払っていた。このことは、昭和四八年の人件費率がアルバイト代を経費として算入しても同四七年に比べ約五パーセント低くなっていることから推認できる」旨主張するが、

〈1〉 乙第四〇号証により明らかな如く、原告は、給与の支払いに係る従業員の出勤日数・日給金額・残業時間・諸手当等についてかなり煩瑣な記帳事務等であるにかかわらず、これを詳細に記帳しているのであるから、仮に原告がアルバイトを採用してこれにアルバイト代を支払っていたのであれば、これを同号証等に記帳するにつき格別の支障もない以上これを記帳したはずであるのに、これを記帳していないこと、

〈2〉 乙第四〇号証によれば、藤川(記号F)外四名の常雇いの従業員に対する給与の支払いは、日給月給制(出勤した日の日給を一月分まとめて支払う方法)と認められるのに、原告の審査請求の際の申し立てによれば、アルバイトに対する給与の支払は月給制(月額五万五、〇〇〇円)となっていて、通常の雇用形態ないし給与支払形態と著しく相違し不合理であること、また、給与月額も常雇いの従業員に対する一か月の給与支払額より多額である(たとえば、乙第四〇号証によれば、昭和四八年中における「大黒」に対する月額平均給与支給額は四万三、七二六円、「脇田」に対する月額平均給与支給額は五万二、四四七円である。)等不合理と認められること、

〈3〉 原告主張の人件費率年比についても、昭和四六年の人件費率は約四一・五八パーセントであるのに、アルバイト料がない場合の同四八年のそれは約三九・三六パーセントであり、両年間で人件費率に格段の差異があるわけでもないから同四七年と同四八年の人件費率の対比から直ちに原告主張の如く同四八年の人件費率が低すぎて不合理であるとはいえないこと、

等に照らし、原告の右主張は到底首肯しえない。

(3) 支払利子

原告が、天理農業協同組合に対する借入金の利子として支払った金額であり、その内訳は左のとおりである。

昭和四六年分 一八万四、九九九円

昭和四七年分 一四万八、六三四円

昭和四八年分 一〇万六、三一二円

六、証拠

本件記録中の書証目録記載のとおり。

理由

一、請求原因(一)ないし(四)の事実は、当事者間に争いがない。

二、原告は、本件更正処分手続が違法であると主張するが、税務調査に際し、資格のない第三者の立会を拒否したからといって右調査が違法となるわけではなく、その他の主張にかかる事由は、弁論の全趣旨に照らし更正処分手続の取消事由となし難いことが明らかであるから、右主張は採用できない。

三、そこで本件更正処分の内容について検討する。

(一)  原告は肩書住所でトムソン加工(紙箱加工業)を営むものであるが、昭和四六年分同四七年分の原告の収入金額、同四六年分ないし同四八年分の売上原価およびその他の経費中、昭和四六年分荷造運賃、接待交際費、消耗品費、同四七年分接待交際費、消耗品費、同四八年分給料賃金を除き、その余の科目の各金額については、当事者間に争いがない。

(二)  昭和四八年分収入金額

原告は、一、〇八二万〇、四四二円であるとし、その理由として、有限会社沢井紙器工業所に対する昭和四八年八月分売上げが五万〇、七〇〇円であること及び同年六月二一日と七月七日の各一万円が両替えである旨を主張し、原告本人尋問の結果及び弁論の全趣旨によれば、右主張事実を認めることができる。

(三)  荷造運賃

原告は、昭和四六年分荷造運賃として、一二万五、〇〇〇円を要したと主張し、原告本人尋問の結果中には同旨供述部分があるけれども、成立に争いのない乙第三五号証によれば、原告は、同年分所得税青色申告決算報告書において、荷造運賃の経費は要しなかった旨届出ている事実が認められるので、右供述部分はたやすく措信し難く、他には認めるに足る資料がない。したがって右経費は零と認めるのが相当である。

(四)  接待交際費

原告は、昭和四六、四七年分として各一二万円を要した旨主張し、原告本人尋問の結果中には、同旨供述部分が存するけれども、前掲乙第三五号証と成立に争いのない乙第三六号証によれば、原告は、昭和四六年分所得税青色申告決算報告書において同年分接待交際費はこれを要しなかったとし、同四七年分同報告書においては、一万九、七〇〇円であった旨届出ていることが認められるので右供述部分は、たやすく措信し難く、その他には認めるような資料がないので、原告の前記届出額と同一の被告主張額を採用すべきである。

(五)  消耗品費

原告は、昭和四六年分として五五万七、七七一円又は五五万五、四六五円を、同四七年分として五八万〇、九四三円又は五五万五、四六五円を要した旨主張し、原告本人尋問の結果中には同旨供述部分が存するけれども、前掲乙第三五、三六号証によれば、原告は、昭和四六年分として八万八、二九〇円、同四七年分として二万四、〇〇〇円を届出たことが認められるので右供述部分は、たやすく措信し難く、その他には認めるような資料がない。なお原告は、昭和四八年分として金九二万五、七七六円が認められているので、同四六、四七年分についてもその六割位を計上すべきだと主張するけれども、昭和四八年は、いわゆる石油ショックと称せられる急激な経済的変動により特定商品の物価が急上昇した時期であったことは、当裁判所に顕著な事実であるから、同四八年分により一概にそれ以前の消耗品費の額を推測するのは妥当でないといわなければならない。それ故原告の右主張は採用できず、原告の前記届出額と同一の被告主張額をもって相当と認める。

(六)  給料賃金

原告は、昭和四八年分として四八一万八、一四五円を要した旨主張し、原告本人尋問の結果中には同旨供述部分が存するけれども、成立に争いのない乙第三七号証によれば、原告は、同年分所得税青色申告決算書においては、二七八万〇、二八〇円を要した旨届出ていることが認められるので、右供述部分はたやすく措信し難く、その他には認めるような資料がない。却って成立に争いのない乙第四〇号証と証人木田宏の証言を総合すると、被告主張額をもって相当と認められる。

四、以上によれば、原告の主張は昭和四八年分収入金額を除きその余は理由がないので、原告の昭和四六年分ないし同四八年分所得税について同四八年分所得額を二〇九万九、七〇一円とする外は、被告主張の所得額の各範囲内でなした本件各更正処分(昭和四六、四八年分については裁決により取消された後の金額)に違法のかどはなく、その取消しを求める原告の本訴請求は、失当として棄却すべきである。

五、よって訴訟費用の負担につき民訴法八九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 仲江利政 裁判官 山田賢 裁判官 三代川俊一郎)

別表1

〈省略〉

別表2

昭和46年分の収入金額の内訳

〈省略〉

(注)◎印は訂正した収入金額である。

別表3-1

昭和47年分の収入金額の内訳(No.1)

〈省略〉

(注)◎印は訂正した収入金額である。

別表3-2

昭和47年分の収入金額の内訳(No.2)

〈省略〉

別表4-1

昭和48年分の収入金額の内訳(No.1)

〈省略〉

(注)◎印は訂正した収入金額である。

別表4-2

昭和48年分の収入金額の内訳(No.2)

〈省略〉

別表5 46年分の減価償却資産の内訳

〈省略〉

別表6 47年分の減価償却資産の内訳

〈省略〉

別表7 48年分の減価償却資産の内訳

〈省略〉

別表8

〈省略〉

(注)各科目の※印は原告申立額である(乙第1号証の2ないし4)。

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